よみがえったシルクロードの音色

正倉院の渡来楽器を復元 14

「金泥絵新羅琴」

糸の音色


 正倉院の北倉に一本の桐をくり抜いた槽に一二本の弦を張った『金泥絵新羅琴』が保存されている。
 金泥で槽にほどこされた絵は、草を図案化した円の中に、鳳凰が遊ぶ図柄で、中国伝来の琴とは明らかに趣が違う。
 この琴のルーツは、朝鮮半島であると言われ、韓国では『伽ヤ琴』と呼んでいる。伽ヤ琴とは、六世紀のころ朝鮮半島の南端にあった伽耶国に由来する。
 この国の王であった嘉実という人が伽ヤ琴を作ったと、一一世紀に金富軾が書いた韓国最古の歴史書『三国史記』に記載されている。また一説に、伽ヤ国の于勒という人がこれを考案し、そのために曲を一八五曲も作ったとも伝えられている。 
 この伽ヤ国が、強国新羅に併合された後、八世紀になって新羅人たちの手により伽ヤ琴が日本に伝えられたことから、新羅琴と呼ばれるようになった。
 現在の韓国には、正楽演奏用と散調演奏用の二種類の伽ヤ琴と呼ばれる琴が残っていて、実際に演奏されている。正楽演奏用の伽ヤ琴が新羅琴に近いと言われているが、往時の原形をそのまま残しているのが正倉院の新羅琴と呼ばれる伽ヤ琴である。

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