よみがえったシルクロードの音色

正倉院の渡来楽器を復元 15

「和琴」
 絲の音色


  正倉院に保存されている琴には、中国や朝鮮で作られたものばかりではなく、日本固有の弦楽器である和琴と呼ばれるものもある。
 正倉院献物帳に「檜木倭琴二張」と記載されている約二メートルほどの長さの琴が北倉と東寶倉に残され、また南倉には一・五五メートルと一番小さいが、装飾の美しい琴も保存されている。他の倉にも和琴の残闕が残されており、各年代の十張ほどの日本産琴があったと推測される。
 この和琴がいつどのように作られたかは定かではないが、献物帳の「倭琴」という文字が示すように「倭人の琴」という意味にもとれる。新しい学説には、弥生人は長江流域の江南地方から稲作文化をたずさえて渡来した倭人(族)ではないかともいわれている。また弥生時代の古墳の中から琴を奏でる姿の埴輪が発掘されたことからこれが和琴の原型ではないかと考えられている。琴を奏でる埴輪を見ると五弦琴で膝の上に置いて奏でていたようだ。
 もし弥生人と倭人が同じであれば、和琴もまた遠く中国からの伝来ということになるかもしれない。古代のロマンとともに考古学的にも興味のあるところである。複製した和琴は南倉の和琴を元にしたもので、六弦あることから奈良朝期のものと考えられる。

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