よみがえったシルクロードの音色

正倉院の渡来楽器を復元・

「方響」 金の音色


 正倉院の南倉に、資料によると、上部が弧状になった鉄板が九枚保存されている。この赤錆びたところどころに斑点のある鉄板は、大工道具の鉋の刃のようにも見え、楽器の一部とは到底思えないのだが、実はこれが唐代に作られた方響という楽器の一部なのである。
 中国でも宮廷音楽のみに使用されたこの楽器は、小さな鉄板一六枚を上下二段に八枚ずつに分けて架け、鹿の角などで作られた撥を使う打楽器で、主にリズム楽器として、使用されたと推測されている。
 方響は、東大寺の大仏開眼のころに、唐より海を渡ってきた数々の楽器の一つとされ、正倉院にその面影を残すが、不思議なことに、日本の伝統雅楽を構成する楽器としては使用されずに、今日にまで至っている。
 この方響を再現し、音色を聞いてみると、鐘の音ほど激しくはないが、余韻が長く保たれ、キラキラと光るイメージが涌く美しい音色である。



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