よみがえったシルクロードの音色

正倉院の渡来楽器を復元7

「瓷鼓」
(こくちょうしゃくはち)

 糸の音色


 晋代に、戦乱の世情を嫌って竹林に出入りし、音楽を奏でたり、酒に陶酔しながら清談を交わす竹林の七賢人と呼ばれる人々がいた。その中の一人に阮咸という名の琵琶の名手がいた。彼はどんな微細な音色も聞き分けられ、その能力の右に出る者はいなかったと伝えられている。阮咸が好んで使用した琵琶は「秦漢子」と呼ばれるもので、胴が円を描いており棹が真直ぐに付いていて十二柱が列んでいる。後世になると型はほとんど変わらないが十三柱のものが現れ「秦琵琶」と呼ばれていたが、阮咸を慕う人々がその琵琶の形態を見る度に阮咸を思いだすことから、次第に名前を阮咸と言うように変化したものと思われる。

 日本に渡ってきて正倉院北倉に納められている阮咸は二面あり、素材が桑製と紫檀製のものとがある。特に「螺鈿紫檀阮咸」は初唐の形態を色濃く残しているとされ、胴裏に螺鈿で描かれている二匹の鸚鵡に西方のエキゾチズムを感ずる。復元された阮咸で音色を聞くと優しく深い音律を漂わせ、まさに竹林をわたる清風の趣がある。


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