よみがえったシルクロードの音色

正倉院の渡来楽器を復元 9

「しゅん」

 土の音色


 (しゅん)は土で作られた素焼きの素朴な土笛である。中国の周時代に定められた八音の土の音に属する。

 中国では、およそ7000年前の古墳や遺跡から、ボールや卵、オリーブの実などの形状をした土笛が数多く出土している。このことから、(しゅん)は古代から広く人々に親しまれてきた楽器のひとつであることがわかる。敦煌莫高窟壁画の技楽図のなかに、(しゅん)を演奏しているところがあり、朝鮮半島に伝わった雅楽にも(しゅん)は使われている。

 一方、日本の古代にも土で作られた弥生笛といわれるものがあり、各地から出土している。形状は中国のものとよく似ていて、どちらも両手のたなごころに包み込むようにして、上に開けた吹き口から息を吹き込み音を出す。音色は素朴で温かみがあり、大地を渡る風の音のように聞こえ、人が自然と一体だったころの遠い記憶を思い出させてくれる。

 中国大陸や朝鮮半島を経由してもたらされた古典楽器が正倉院に保存されているが、不思議なことに、その中に(しゅん)の姿を見出すことができない。想像の域を出ないが、素焼きの(しゅん)はもろいために破損してしまったか、もともと日本にも同じような物があったために、軽んじられたのかもしれない。

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